授業のための参考書籍紹介:『人口減が地方を強くする』

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授業作りを助ける1冊

 sogeoです。地理の授業づくりを進めるにあたって参考になる書籍の紹介をします。高校地理必修化に伴い、初めて地理の授業を担当する先生方はもちろん、地理を教え慣れている先生方にとっても有用な1冊です。生徒に薦めてより深い学びを促すことにも使えます。

 今回はこちらの書籍です。主に「人口」の単元で活用できます。地理総合の柱B(2)「地球的課題と国際協力」や、柱C(2)「生活圏の調査と地域の展望」地理探究の柱A(4)「人口、都市・村落」でも活用できそうです。↓の各ボタンからご確認いただけます。

藤波 匠(著), 2016, 日本経済新聞出版

概要

 現在から未来にかけて、日本で大きな問題とされている「人口減少」。経済の衰退や地方の消滅など、今後起こりうる様々な問題が世間で叫ばれています。東京一極集中による過密化と、地方の過疎化というアンバランスさへの解決策として、若者の地方移住を促すなどの政策も取られています。

 しかし本書では、そのように人口を移動させようとすることの問題点を挙げ、無理な人口移動ではない方法でも地方を活性化させることが十分可能であると述べています。第7章までの構成で、新たな仕事の創設、地方都市の役割等について書かれています。

 山梨県の中山間地域や、高知県、島根県などで行われている、実際の事例も紹介されており、活動しているNPO法人も出てくるため、単なる理論だけでなく具体的に見つめていくことができます。日本の課題に対する探究活動や調査の準備として読んでもらうことにも活用できそうです。

藤波 匠(著), 2016, 日本経済新聞出版

印象的な部分や感想

 今後訪れる人口減少の規模感については、こちらの記事「地理の授業ネタ 31個の都道府県が消滅する?」でも取り上げています。31都道府県が消滅しかねない規模での人口減少で、この先は大都市圏を中心としたコンパクトな日本になってしまうのか……というと、それは分かりません。本書では、地方の持つ可能性を、複数の観点から紹介しています。

 印象に残ったのは、都市部から地方への移住といったような「人口の奪い合い」自体がそもそも意味のないことである、という部分でした。人口の母集団が減っていくのが事実であるなら、居住地を無理やり変えることが根本的な解決になりません。

 貧困の問題と関連して、「年収○百万円でも豊かに暮らせる」といった言葉が、SNSを中心に物議を醸していたりする昨今ですが、そういった面を打ち出して地方移住を促すことのリスクも第2章で挙げられています。中高生も自分の将来と合わせて考えることができるため、「自分ごと」として人口問題を捉えるきっかけとして生徒に推薦して関心・意欲を刺激することにも使えます。電子書籍版もありますので、ご自身にとって扱いやすい方を下の各ボタンからご利用下さい。

藤波 匠(著), 2016, 日本経済新聞出版

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