授業のための参考書籍紹介:『地図の進化論』

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授業作りを助ける1冊

 sogeoです。地理の授業づくりを進めるにあたって参考になる書籍の紹介をします。高校地理必修化に伴い、初めて地理の授業を担当する先生方はもちろん、地理を教え慣れている先生方にとっても有用な1冊です。生徒に薦めてより深い学びを促すことにも使えます。

 今回はこちらの書籍です。特に「地図」「GIS」に関連する単元で活用できます。地理総合の柱A(1)「地図や地理情報システムと現代世界」や、柱C(2)「生活圏の調査と地域の展望」などでも活用できそうです。↓の各ボタンからご確認いただけます。

概要

 高校地理でも出てくる古代バビロニアの地図など、古代人の地図作りから、現代のデジタル地図に至るまで、地図が持つ本質的な役割に触れながらその変遷を辿っていきます。地図に関して学習の助けになるウェブサイトとして以前の記事で紹介した「THE TRUE SIZE OF...」や、地理院地図、Google Earthなども適宜画像が使われ、理解を助けてくれます。

 以前の記事で、ICT機器を用いないGIS指導実践を紹介しましたが、その元となったジョン・スノウ医師のコレラ地図についても紹介されています。また、メルカトル図法によって高緯度地域が拡大表示されていることが南北問題につながるという提起、その解決のために考案されたガル・ピータース図法についても取り上げられています。

 人間の空間認知についても掘り下げられており、心理学など、大学以降での学びについて興味を持つきっかけにもなります。もちろん、「主題図」「地形図」「図法」など、高校地理で出会う事柄の学習が今後にどう活きてくるかも感じることが出来ます。世の中との関連性を意識し、学習のモチベーションに繋げることができそうです。

印象的な部分や感想

 また、球体を平面に落とし込む限界について、「罪のないウソ」「罪深いウソ」という言葉で取り上げられているのが印象的でした。大統領選挙結果など、ニュースでも日常的に地図が用いられますが、それは理解を助ける手法であると同時に、誤解を与える表現方法が用いられているケースもあるので注意する必要がある、と生徒に伝えることができます。

 デジタル化が進むことで、誰でも地図を作成し、人々は位置情報を身近に活用できるようになっていますが、それが当たり前になりすぎることで逆に「地図」の存在が見えにくくなる、という後半の一節も面白いと感じました。身の回りでGoogle マップなどの地図がありふれている社会になったことで、逆に希薄化している「地図」の存在への意識を、あらためて考え直すきっかけにしていくことができます。

 課題解決のために地図を用いるという考え方は、地理探究はもちろん様々な科目での探究活動が重要視されている昨今、今後の生徒の活動を助けるものになるでしょう。地図に関する視点を掘り下げる書籍として、教材作成のための研究はもちろん、生徒に推薦して関心・意欲を刺激することにも使えます。電子書籍版もありますので、ご自身にとって扱いやすい方を下の各ボタンからご利用下さい。

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