ブログ:アナログのGIS指導実践の振り返り

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勤務校で実践してきました

 sogeoです。地理総合の柱の1つ(大項目A 地図や地理情報システムで捉える現代世界)である「GIS」について、以前の記事「ブログ:ICT機器を用いないGIS実践について」で提案をさせていただきました。GISの理念を、パソコンなどを使えない環境でも教えられるように考案したものです。

 今回、こちらの授業を実際に当方の勤務校で実践しましたので、個人の備忘録的な意味合いも込めて、振り返りをしておきたいと思います。実践の提案については、下の動画をご覧ください。 

実践をした環境(クラス設定など)と流れ

 今回は、54人の生徒が受講する土曜講座(通常の授業とは異なる特別な講義)にて実践を行いました。6人 × 9班でのジグソー学習の形態を取りました。時間は90分で、大学の講義と同じ時間枠での実践となりました。通常の授業に落とし込むためには、50分ずつで区切り、2時間連続の枠で実施するなどの工夫が必要になりそうです。

 教室の入り口には、「この先は未知の感染症被害が発生している領地のため、手指消毒とマスク着用を徹底すること」と張り紙をし、実践の舞台説明をしながら、アクティブラーニングをする上での感染対策を施しました。

  • ①背景の説明、班分け 20分
  • ②エキスパート活動  15分
  • ③ホームグループ活動 30分
  • ④比較検討とまとめ  20分
  • ⑤感想の記入     5分

各活動の内容の振り返り(備忘録)

 ①ではまず、活動の目的(原因不明の感染症が蔓延している領地の調査をして原因を突き止め、解決策を提示してほしい)を提示しました。教員が領主役を務め、現実のコロナ禍とも照らし合わせつつ、演じながら訴えかけました。その後、6人ずつの班ができるように机を動かし、班の中で6つの役職(政治家、自然学者、不動産業者、医者、商人、新聞記者)を割り当てました。それぞれの役職には専用のプリントを配付しますが、各役職9種類のプリント(手に入る情報にはバラつきがある)を作り、同じ役職でも班ごとに異なる内容の情報を与えることで、②のエキスパート活動の布石としました。

 ②では、机の形を少し組み換え、10人まで座れる島を5つ作り、政治家以外の役職の人たちを集め、それぞれが得ている情報を共有、集約させました。政治家は各班の様子を見て回ることができるようにしました。5か所のエキスパート活動は、ほとんどヒントを与えず、「あとで元々のグループの人たちに情報を持って帰れるよう、どうぞ頑張って」と指示だけして、自分たちで情報を集めさせました。15分で少し余裕をもってできていたように思います。

 ③では、再び机の配置を戻し、もとのホームグループに戻します。ここでも、「どうぞ、原因を突き止めてください」「自分たち専門家が分かるだけではなく、領主が打ち出すべき行動が分かるように、根拠を明確にしながら政策を考えてください」と指示をするだけで、後は自分たちで作業をさせました。ここは、もう少し時間があった方が良かったように感じました。領主への質問を1つだけできるようにしましたが、「ここの井戸水は安全ですか?」など、「それは領主が一番知りたがってるよ」と言いたくなってしまうような質問が多く、人口の母数を尋ねる問いが出なかったのは残念でした。ここは、政治家のプリントを少し書き換え、質問の方向性を誘導した方が良さそうでした。

 ④では、各班の政治家のプリントを集め、政策の比較をしましたが、時間がもう少し欲しかったようで、完全にできていた班は少なかったです。ただ、やはり井戸水が怪しいというところまでは気付けていた班がほどんどだったので、あとはそれを政策としてまとめる時間が取れれば、といったところでした。また、この時間の後半では、「パソコンを使っていないが、皆さんのやっていたことはGISの根本である情報の重ね合わせだ」「かつて地図を武器にしてコレラに立ち向かった医師がいる」「人の命を救えるのは医者だけではない。医者が病原菌やそれへの対策を取れるようになるために、原因を解明したりするのは、ほかの仕事をしてくれている多くの人の力が必須で、連携することが大切だ」という話も伝え、結びとしました。

また実践の詳細を動画にします

 上の記録はあくまで当方自身の備忘録的な側面が強いので、もう少し実際のプリントが分かるような形の動画を作成・投稿するつもりです。 →追記:こちらの記事「ブログ:GIS指導実践「Symes(サイムズ)領の真実」について」にて。

 生徒の感想も好意的なものが多かったので、ブラッシュアップさせていき、他の学校でも使える実践例に仕上げていきたいと思います。

 アクティブ・ラーニングの形式で、ICT機器を用いずともGISの理念を伝えることができ、これを踏まえて地理総合の教科書を用いたGISの授業や、環境が整った学校ならばICT機器を用いた指導にも繋げることができます。まだまだ発展の余地は残していますが、効果的な実践ではないかと自負しています。

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